セミオーシス - Dan Shannon's World

Dan Shannon's World
Dan Shannonlives in Nagoya, Japan, with his wife and so many stuffed animals, such as dogs, elephants, pandas and so on.  He is one of the winners of 1998 The First Internet Bungei Shinjin Award in Japan.  He mainly writes science fiction for adults.  Several magazines have carried his short stories that are now in some anthologies published in Japan.
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7世代100年以上の壮大な物語
セミオーシス
スー・バーク 水越真麻訳
ハヤカワ文庫SF

本邦初訳のスー・バークによる、惑星開発の物語。大河小説と言っていいでしょう。分量としては文庫本で600ページたらずと、ちょっと短くて物足りない部分もあるが、続編も構想されているようで、合わせればれっきとした大河小説になるだろう。

地球が環境破壊や不平等でどうしようもなくなっちゃって、数十人のメンバーが宇宙へ旅立つ。着いたところがパックスという惑星。地球より10億年ほど年上の惑星で、地上は植物相に覆われている。この惑星上で、メンバーはそりゃもうひどく苦労するんですわ。

内容は、年代別にエピソードを重ねる構成となっており、それぞれのエピソードも単純に面白いが、全体を見ると、重層に見えてくる。特に目を惹いたのが、世代間の軋轢。最初に入植した世代に対し、その子世代、孫世代が反発する。それは、入植世代が知られて困ることを隠したから。でも、親世代はよかれと思ってやったんだけどね。このあたりの確執、軋轢がなかなか読ませる。動的な派手さはないが、内容は濃いように感じられる。

しかし、クライマックスあたりはその動的な派手さも加わり、ホントに大河小説らしいダイナミックさを獲得する。この部分では、自意識を持ち、他者を支配しようとする植物の描写が面白い。植物としても、なかなかに独創的である。

汚染され切った地球を離れ、自然豊かな惑星に移り住んでも、そこは楽園ではなかったのだ。もちろん、開拓の労苦は誰もが予測するだろうが、ここで重点が置かれているのは、むしろファースト・コンタクトの難しさ。過酷な状況下にあっても希望を失わず、果敢に挑戦する人々の姿がまぶしい。
(2019/11/28)
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