最初の悪い男 - Dan Shannon's World

Dan Shannon's World
Dan Shannonlives in Nagoya, Japan, with his wife and so many stuffed animals, such as dogs, elephants, pandas and so on.  He is one of the winners of 1998 The First Internet Bungei Shinjin Award in Japan.  He mainly writes science fiction for adults.  Several magazines have carried his short stories that are now in some anthologies published in Japan.
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女闘好みにはたまりませんぜ

『最初の悪い男』ミランダ・ジュライ
岸本佐知子訳 新潮社クレストブックス


ご存じミランダ・ジュライの初長編。一癖も二癖もあって、一筋縄ではいかないが、反面、ストーリーには一直線なところもある、不思議な物語。

シェリルは43歳独身OL。ある日、上司から娘を預かって欲しいと言われる。そしてやってきたのは、クリーという20歳の女の子。衛生観念ゼロで足が臭く、美人で巨乳。はっきり言ってむちゃくちゃな女。このクリーとシェリルが壮大なバトルを繰りひろげる。バトルと言っても、比喩的なものではない。ホントに、肉体の派手なバトルなのである。殴るは蹴るは、組み伏せるはで、二人とも傷だらけ。それも、何度も繰り返して、読んでいるこっちがハラハラしてしまうくらい。キャットファイトが好きな人にはたまらんだろうなあ。

しかし、そういつまでもバトルをしているわけにもいかない。そのうちにふたりの関係は変化していき、最終的には百合な関係になってしまう。なんか、男どもが狂喜乱舞してしまいそうな展開である。

そして、クリーが男の子を出産する。出産する前から里子に出すことが決まっているが、シェリルがなぜか自分の子どものように育てることになる。おむつの中に大量のうんちをしておむつが破裂したり、そりゃもう大変。

それから、シェリルはフィリップという男と付きあっていたのだが、このフィリップ、キアステンという若い女と付きあおうとして、シェリルに許可を求めようとしょっちゅう電話してくる。それも、突っ込んでもいいかとか、舐めさせてもいいかとか、思いっきりきわどいことの許可を求めようとする。なんちゅう男だ、ったく。

メタフィクションなどの難しい仕掛けがなく、すんなりと理解できる作品である。なんか、女の目から見た男とか、女の目から見た女とか、参考にもなるしね。しかし、内容は思いっきりぶっ飛んでいる。超自然的要素は皆無だが、あまりにぶっ飛んでいるので、一種のファンタジーみたいに思えてくる。まさに、「傷だらけ」の小説。「疵」じゃないよ、念のため。

(2019/11/15)
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